給与計算の外注は、業務効率化や負担軽減などにつながる取り組みです。
利用を検討しているものの、費用がわからず困っている方もいるでしょう。
従業員数が10~50人であれば、2万円~6万円程度で外注できることが一般的です。
本記事では、給与計算の外注にかかる費用の内訳と相場、費用を抑える方法、外注先の選び方などを解説しています。
費用感を把握したい方は、参考にしてみてください。
給与計算の外注費用相場
給与計算の外注費用は、以下のコストで構成されます。
【内訳】
- 初期費用
- 月額費用
- オプション費用
具体的な費用は、業務内容や企業規模によっても変動します。
ここでは、給与計算を外注した場合にかかる費用の相場について解説します。
初期費用
給与計算の外注では、初期費用がかかることがあります。
初期費用には、以下の料金などが含まれます。
【内訳】
- 給与計算に使用する専用システムなどを導入する費用
- 従業員のデータを登録・移行する費用
- 給与業務のコンサルティングにかかる費用
- サービス導入に伴う事務手数料、契約料
初期費用の相場は、従業員数10~50人の場合で数万円~20万円程度です。
具体的な金額は依頼先により異なります。
また、初期費用がかからないケースも少なくありません。
導入前に詳細を確認しておくことが大切です。
月額費用
給与計算を外注すると、原則として月額費用がかかります。
基本的な月額費用の計算式は次の通りです。
- 月額費用=基本料金+従業員単価×従業員の人数
基本料金は以下の費用などで構成されます。
【内訳】
- 給与計算に使用する専用システムの費用
- サポートにかかる費用
従業員数10~50人程度の場合で、基本料金の相場は1万円~2万円程度です。
また、従業員1人あたり1,000円前後の費用もかかります。
これらを合計すると、毎月2万~6万円程度になることが多いでしょう。
オプション費用
初期費用、月額費用に加えて、オプション費用がかかることもあります。
オプション費用は、基本料金に含まれる業務以外を利用したときにかかる費用です。
主なオプション費用として、以下のものが挙げられます。
【オプション費用の例】
- 給与明細の発行
- 給与の振込
- 社会保険への対応
- 税金の納付
- 年末調整関連業務
原則として、オプション費用は業務を追加するたびに発生します。
まとまった費用が発生することもあるため、見積もりをとってから依頼することが大切です。
業務内容による費用の違い
給与計算の外注で、月額料金に含まれる基本的な業務は以下の通りです。
【基本的な業務】
- 勤怠データ(タイムカード)の集計
- 基本給の計算
- 残業代の計算
- 社会保険料の計算
- 所得税控除の計算
- 住民税の計算
具体的な業務の内容は依頼先で異なりますが、これらの業務を含むことが一般的です。
前述の通り、月額料金に含まれる業務以外を依頼するとオプション費用が発生します。
例として、社会保険の資格取得・喪失手続きや年末調整書類の配布・回収などが挙げられます。
オプション料金が高額になる場合もあるため、注意が必要です。
企業規模による費用の違い
給与計算の外注費用には、企業規模も関係します。
「基本料金+従業員単価×従業員の人数」で月額費用が決まるためです。
企業規模が大きいほど、外注費用の総額は高くなるといえます。
ただし、従業員1人あたりの費用は安くなる傾向があります。
業務の効率化などで、単価の下落を見込めるためです。
企業規模が大きい場合は、従業員単価が1,000円を下回ることも考えられます。
具体的な金額は依頼先で異なるため、見積もりをとって確認しましょう。
給与計算の外注費用を抑えるコツ
続いて、給与計算の外注費用を抑えるポイントを紹介します。
クラウドシステムを導入する
外注先と同じ給与計算システムを導入すると費用を抑えやすくなります。
基本的に、データを自動で連携できるようになるためです。
クラウド型の給与計算システムを導入すると、さらに外注費用を抑えやすくなります。
システムを導入する費用がかからないためです。
初期費用を抑えたいときに検討したい対策です。
また、クラウドシステムには、時間や場所を問わず利用できる、データの共有が容易になるなどのメリットもあります。
業務効率を高められるケースが多いでしょう。
外注する業務を絞り込む
必要性の高い業務だけを外注することも大切です。
無計画に依頼すると、オプション費用がかかります。
また、打ち合わせなどが増えるため、担当者にかかる負担も大きくなります。
給与計算業務のプロセスを明らかにして、課題のある業務を優先的に外注しましょう。
ただし、個人情報の扱いには十分な注意が必要です。
外注に適さない個人情報を、給与計算で扱っていることもあります。
情報セキュリティに対する配慮が必要です。
複数の外注先を比較する
給与計算の外注先には、複数の選択肢があります。
外注先により、費用体系や基本料金に含まれる業務などは異なります。
A社では基本料金に含まれる業務が、B社ではオプション扱いになっている場合もあるでしょう。
あるいは、小規模事業者に向けて、割安な料金プランを提案しているところもあります。
そのため、複数の外注先から見積もりを取り、自社に合った業者を選ぶことが大切です。
相見積もりをとることで、当該ケースにおける相場もわかります。
給与計算の外注に向いている企業
続いて、給与計算業務を外注するほうがよい企業の特徴を紹介します。
専門の担当者を配置していない
特定のスタッフが他の業務と兼務しているなど、専門の担当者を配置していない企業は給与計算の外注に向いています。
主な理由として以下の点が挙げられます。
【主な理由】
- 給与計算に関連する法律が頻繁に改正される
- 給与・税金・社会保険に関わるためミスが許されない
専門知識がないまま業務を行っていると、法改正に対応できないなど、大きなトラブルにつながる恐れがあります。
したがって、専門家が対応してくれる外注に向いていると考えられるのです。
事業拡大で増員している
短期間で急成長している企業も、給与計算の外注に適しています。
成長スピードに、人員確保が追いつかないためです。
コア業務に必要な人員を優先的に確保するため、人事部門や経理部門で人材不足が起きているケースが少なくありません。
また、成長にあわせて社内体制が変化するため、専任の担当者を配置しにくいこともあるでしょう。
給与計算を外注すれば、これらの課題をまとめて解決できます。
大切な人材を、生産性が高いコア業務へ割り振れる点もポイントです。
業務の精度やスピードを高めたい
給与計算の精度やスピードに課題がある企業も外注に適しています。
経験豊富な外注スタッフが、依頼した業務を代行してくれるためです。
ほとんどのケースで、計算ミスや入力ミスを減らしたり、業務のスピードを早めたりできます。
結果として、社員満足度や生産性の向上につながる場合もあります。
特定のスタッフが、給与計算を兼務している場合などで効果を実感しやすいでしょう。
給与計算の外注先
外注先の主な選択肢は以下の通りです。
【主な外注先】
- 代行会社
- 税理士
- 社会保険労務士
ここでは、これらの特徴と費用の目安を解説します。
代行会社
給与計算の代行をサービスとして提供している会社です。
従業員数10~50人の会社における外注費用の相場は20,000~60,000円/月といえるでしょう。
代行会社の主な特徴は次のとおりです。
【主な特徴】
- 効率化により費用を抑えているところが多い
- さまざまなオプションサービスを用意している
- 給与計算システムの導入・構築をサポートしているところがある
- 給与計算の専門家が多数在籍している
代行会社は、さまざまな業務や企業規模に対応しているといえるでしょう。
また、税理士サービスや社会保険労務士サービスなど、専門家サービスをワンストップで提供しているところもあります。
税理士
税理士に給与計算を依頼することもできます。
10~50人の会社における外注費用の相場は、代行会社と大きく変わりません。
主な特徴は以下の通りです。
【主な特徴】
- 納税者に代わって所得税や法人税の申告を行える
- 納税者に代わって税務書類を作成できる
- 税務相談を行える
これらの業務は、税理士しか行えません。
税の専門家といえるでしょう。
法改正に確実に対応したい場合や税について相談したいときに適しています。
ただし、対応している業務の範囲や企業規模は税理士で異なるため確認が必要です。
社会保険労務士
社会保険労務士に、給与計算を依頼することもできます。
10~50人の会社における外注費用の相場は、代行会社や税理士と大きく変わらないといえるでしょう。
社会保険労務士の主な特徴は以下の通りです。
【主な特徴】
- 社会保険・労働保険関連の書類作成や提出手続きを代行できる
- 法定帳簿(労働者名簿・賃金台帳)を作成できる
これらの業務は、社会保険労務士しか行えません。
社会保険労務士は、企業で働く人材に関する専門家です。
労務管理についても相談したい場合に適しています。
ただし、対応している業務や企業規模は、個別の確認が必要です。
給与計算の外注先を比較する際のチェックポイント
給与計算の外注先を比較するときは、以下の点をチェックすることが大切です。
【チェックポイント】
- 費用体系
- 外注できる業務
- 対応のスピードと柔軟性
- 過去の対応実績や口コミ・評判
- 個人情報保護やセキュリティの体制
各チェックポイントについて解説します。
費用体系
必ずチェックしたいポイントとして、費用体系が挙げられます。
独自の計算式を採用していることや特別な単価を採用していることがあるためです。
たとえば、以下のケースなどが考えられます。
【費用体系の例】
- 外注先の強みを発揮するため、小規模な企業の従業員単価を安くしている
- 外注先の強みを発揮するため、小規模な企業の従業員単価を高くしている
自社と外注先の特徴が合わないと、想定以上に費用が高くなることがあります。
費用算出の根拠を比較し、自社に合った外注先を選ぶことが大切です。
外注できる業務内容
外注先により対応している業務は異なります。
オプションサービスは、違いが現れやすいポイントです。
希望している業務を依頼できる外注先を選びましょう。
基本料金に含まれる業務を比較してから外注先を選ぶと、費用を抑えやすくなります。
利用するオプションサービスを減らせるためです。
外注するべき業務は、自社が抱えている課題で異なります。
現在の課題を整理してから、各業務における外注の必要性を検討するとよいでしょう。
対応のスピードと柔軟性
対応スピードも比較しておきたいポイントです。
給与の振込や税金の納付は、期日通りに行わなければなりません。
速やかに対応してくれる外注先を選ばないと、トラブルに発展する恐れがあります。
柔軟性も比較しておく必要があります。
企業により給与計算の流れは異なるためです。
柔軟性が乏しいと、自社の業務フローに対応できなかったり、サービス提供に時間がかかったりすることがあります。
過去の対応実績や口コミ・評判
実績が豊富な外注先は、さまざまな経験を積んでいるため、スピード・柔軟性とも優れている傾向があります。
スピードや柔軟性を評価しにくい場合は、実績を参考にするとよいでしょう。
外注先の実績は、基本的に公式サイトで確認できます。
あわせて、実際に利用した方の口コミや評判も確認しておきましょう。
公式サイトに掲載されている内容どおりの評価を受けているとは限らないためです。
実績が豊富な外注先であっても、ミスが多いこともあります。
異なる角度からチェックすることで、信頼できる外注先を見つけやすくなります。
個人情報保護やセキュリティの体制
給与計算では、重要な個人情報を扱います。
外注先の個人情報保護体制やセキュリティ体制も確認しておきましょう。
確認を怠って個人情報が漏えいすると、責任の有無を問わず、従業員や取引先からの信用を失う恐れがあります。
個人情報保護体制やセキュリティ体制を評価する指標として「Pマーク」が挙げられます。
「Pマーク」は、個人情報を適切に扱っている事業者に対して付与されるマークです。
取得している事業者の多くは、公式サイトに掲載しています。
相場を理解してから給与計算を外注
本記事では、給与計算の外注にかかる費用の相場を解説しました。
従業員数10~50人の企業であれば、2万円~6万円程度の費用で外注できるケースが多いでしょう。
ただし、具体的な金額は、依頼する業務の内容や事業者で異なります。
見積もりをとって確認することが大切です。
外注先をお探しの方は、 iAPにお問い合わせください。
プロフェッショナルかつバイリンガルのスタッフが、給与計算を含む人事業務や経理業務をサポートしています。
税理士サービスや社会保険労務士サービスなどを提供している点も特徴の一つです。

