外資系企業が経理業務をアウトソーシングするときのメリットと選び方

外資系企業の経理業務には、基礎的な経理知識と実務経験が求められます。

外資系企業では現地の会計基準や税制への理解に加えて本社との連携が求められるため、より専門的な知識と経験が必要です。

為替差損益の管理や多通貨取引の処理、国際的なコンプライアンス対応なども重要な課題となります。

この記事では、外資系企業が経理業務をアウトソーシングする際のメリットや注意点、選び方を紹介します。

経理のアウトソーシングとは?

経理のアウトソーシングとは、企業内で行っている経理業務を専門の外部会社に委託することです。

煩雑になりやすく、ミスが発生しやすい経理業務をアウトソーシングすることで、業務効率化を図りながらリスクを回避することができます。

外資系企業が経理をアウトソーシングするメリット

外資系企業が経理業務をアウトソーシングすると、どのようなメリットが期待できるのでしょうか。

会計基準や税制に詳しい専門家に任せられる

外資系企業は、本社のある国や地域の会計基準、税法を遵守する必要があります。

社内のみで経理業務や税務に対応すると、基準や法律への理解不足から誤りが発生し、罰則や追徴課税を受けるリスクがあります。

手戻りが発生するたびに社内担当者の負担が増大し、監査対応や申告作業で経営資源が圧迫される可能性があります。

アウトソーシング会社には多様な会計基準や税制に精通した専門家が在籍しているため、複雑な処理や申告も正確に行えます。

これにより、法令違反や申告ミスによる罰則リスクを抑え、経理業務を安心して委託できます。

税務調査や会計監査の際も専門家のサポートを受けられるため、企業側の負担が軽減できることも魅力です。

グローバル化に対応できる

外資系企業では、複数の国での取引や現地法人の経理処理が必要です。

アウトソーシング会社は海外の会計ルールや為替処理、国際税務の知識を持っており、グローバルな取引にも柔軟に対応できます。

現地法人の財務情報を本社に統合する作業や、連結決算に必要なデータ整理のノウハウも豊富です。

アウトソーシングを利用しない場合、複数国での会計処理や為替管理が煩雑化し、決算や報告の遅延につながる可能性があります。

本社との連携不備により誤った経営判断を招くリスクにも留意しなければなりません。

国際業務の複雑さを軽減し、適時・正確な経営判断に必要な情報を提供できる点は、アウトソーシングの大きなメリットです。

人件費や教育コストを削減できる

経理担当者を自社で採用・教育する場合、採用費用や給与、福利厚生に加え、継続的な研修コストがかかります。

アウトソーシングを利用すると、これらの費用を固定費化できるだけでなく、繁忙期の増員や専門的な業務に対応するための臨時コストも抑制できます。

自社で担当者を育成するには多くのコストと時間を要するため、費用対効果の面でもアウトソーシングは有効です。

アウトソーシングしない場合、採用・教育・研修に多大なコストと時間がかかり、繁忙期の増員も困難になります。

結果として経理担当者の負担が増大し、業務効率が低下する可能性もあります。

アウトソーシングやセミアウトソーシングは、長期的な経費の最適化と人材リソースの有効活用が期待できる方法です。

経理に関する最新知識や法改正にも対応できる専門家に委託できるため、社内研修の負担を軽減できます。

本業にリソースを集中できる

経理業務は正確性が求められるうえ、月次・年次の繁忙期も存在します。

アウトソーシングを活用することで、社内スタッフは販売・マーケティング・研究開発などの本業に集中できます。

外資系企業では、競争力の強化や市場対応のスピードが求められるため、経理以外の重要業務にリソースを集中できる点がメリットになるでしょう。

結果として、業務効率や経営判断の質が向上し、戦略的な意思決定もスムーズになります。

アウトソーシングせずに自社で処理すると、スタッフが経理業務に多くの時間を割くことになり、本業への集中が妨げられます。

結果として競争力や市場対応力の低下を招き、経営判断が遅れるといったリスクも生まれてしまうのです。

不正や横領のリスクを軽減できる

外資系企業では本社報告の正確性が重視されるため、第三者による監査的な関与が信頼性向上につながります。

リスク管理の観点からも、外部による二重チェックが企業の信用を守るための手段になるでしょう。

アウトソーシング会社は、企業の内部統制の仕組みを理解し、定期的なチェックや承認プロセスを通じて透明性を確保します。

外部の専門家が経理を監督・処理することで、内部での不正や横領のリスクを低減できます。

アウトソーシングを行わない場合、社内チェックのみで不正や横領の発見が遅れ、企業の信用や財務情報の信頼性に影響を与えるといったリスクに注意しなければなりません。

属人化を防止できる

経理業務を特定の担当者に依存すると、担当者が退職した際や休暇時に業務が滞る「属人化」のリスクがあります。

属人化が進むと、担当者の退職や休暇で業務が滞りやすく、決算や報告の遅延が発生します。

マニュアル化や引き継ぎが不十分だと品質が不安定になり、業務全体の安定性にも影響を及ぼします。

アウトソーシングを利用すると、複数の専門スタッフが業務を分担するため、業務の継続性が確保されます。

マニュアル化やクラウドツールの活用により、担当者が変わってもスムーズに業務が引き継げる体制を構築できます。

さらに、業務プロセスの標準化により、品質の安定化や人材交代時の対応力向上も期待できるでしょう。

外資系企業が経理をアウトソーシングするときの注意点

外資系企業が経理業務をアウトソーシングする際の注意点を確認していきましょう。

業務の範囲と責任を明確に定める

アウトソーシングを導入する際には、委託する業務の範囲と責任を明確に定めることが不可欠です。

たとえば、伝票処理や給与計算、決算書作成など、どの業務を外部に任せるかを具体的に契約書に記載する必要があります。

また、人的ミスや法令違反時の対応方法、責任の所在も明確にしておくことが重要です。

業務範囲に含まれる細かい作業手順や報告頻度まで契約に盛り込むことで、認識のずれを防ぎ、トラブルの発生を未然に防げます。

情報管理体制を整備する

経理業務で扱う情報は機密性が高いため、外部に委託する際は情報漏洩のリスクに注意が必要です。

アウトソーシング先の情報管理体制やセキュリティポリシーを確認し、必要に応じて秘密保持契約(NDA)を締結しましょう。

クラウドツールを活用する際も、アクセス権限や暗号化の管理を徹底し、社内外での情報流出リスクを最小化することが求められます。

定期的な監査や内部チェックを実施することで、情報管理体制の強化と安全性が確保できます。

経営状況を分析する

アウトソーシングを導入しても、経理業務の結果を経営判断に活用するためには、企業側が定期的に財務状況を把握・分析する必要があります。

外部任せにせず、報告書の内容を確認し、疑問点があれば迅速に確認できる体制を整えましょう。

分析結果を経営戦略に反映させることで、単なる事務処理にとどまらず、経営資源の有効活用にもつなげられます。

コミュニケーションを密にする

外資系企業では、本社との連携も求められるため、迅速かつ正確な情報伝達体制が不可欠です。

外部の経理担当者と社内の経営陣や担当者との連携が不足すると、誤解や処理ミスが発生する可能性があります。

定期的なミーティングや進捗報告、チャットやメールでの情報共有など、密なコミュニケーションを確保しましょう。

業務フローや報告形式を統一することで情報伝達の精度が高まり、意思決定のスピード向上につながります。

外資系企業が経理アウトソーシング会社を選ぶときのポイント

ここでは、外資系企業が経理のアウトソーシング会社を選ぶためのポイントを紹介します。

料金体系と追加費用の発生条件

アウトソーシング会社の料金体系は定額制・従量課金制・プロジェクト単位での支払いと多様です。

料金体系や追加費用の条件を十分に確認せず選ぶと、繁忙期に想定外の高額請求が発生したり、契約変更時に不透明な手数料が重なり、予算管理が困難になるリスクがあります。

結果として経理業務にかかるコストが増大し、企業の財務計画にも悪影響を及ぼしかねません。

契約時、基本料金や支払い方法、追加業務や繁忙期の際の料金体系、プラン変更時の手数料といった条件を確認しましょう。

契約期間中の料金改定、為替変動の影響も考慮し、不明点は随時尋ねるようにすると安心です。

料金体系を理解することで、予算オーバーやトラブルを防ぐことができます。

外資系企業の支援実績

外資系企業特有の会計基準や国際税務への対応力は、アウトソーシング会社の実績から判断できます。

複雑な処理や本社連携など、過去の支援事例を確認し、業種や対応できる国をチェックして選びましょう。

支援実績が乏しい会社を選ぶと、国際会計や税務処理上でのミスが発生したり、本社報告や決算の整合性に問題が発生したりすることがあります。

その際、監査で指摘を受けたり、罰則や追徴税のリスクが高まったりする可能性もあります。

同業種での事例は、業務効率化やリスク管理の参考となり、導入効果を高める要素となります。

複数の国での業務経験がある会社は、異なる会計慣習や税制にも柔軟に対応できます。

英語対応や海外本社との連携

外資系企業では、本社との報告や監査で英語が必須となるケースが多くあります。

アウトソーシング会社が英語対応できるか、海外本社との会計データの連携やタイムリーな情報提供が可能かを確認することが重要です。

英語対応が不十分な会社を選ぶと、本社への報告書や契約書で誤訳や認識違いが生じ、意思決定が遅れるリスクがあります。

タイムゾーンや文化の違いを考慮した連携ができず、国際業務の効率が低下し、経営判断の遅延もリスクになるでしょう。

外資系企業は経理のアウトソーシングがおすすめ

今回は、経理のアウトソーシングについての基礎的な知識や注意点、アウトソーシング会社を選ぶポイントを紹介しました。

経理業務のように、採用・教育・管理に多大なコストがかかる業務も、アウトソーシングによって負担を抑えられます。

複雑な財務処理や内部統制の整備にも対応できるため、コストやリスクに悩む企業にとって魅力的な選択肢といえるでしょう。

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