経理のアウトソーシングを検討している方に向けて、IPO準備における経理支援サービスの導入効果を解説します。
「上場しよう」と決断して準備を始めようとしたものの、経理業務への負担が大きすぎる…と感じる方は少なくありません。
IPOでは経理の正確性が求められ、審査通過に関しても経理業務がカギを握ります。
IPO準備の段階では、経理業務につまずく企業も少なくありません。
そこで今回の記事では、IPO準備における経理支援サービスの重要性と導入効果について解説します。
参考にしていただくことで、経理業務の負担を軽減しながらIPO成功に必要な要素を理解できるでしょう。
IPO準備の経理業務とは?
IPO準備において経理業務は非常に重要だとされています。
なぜ重要だとされるのか、その重要性や業務内容、スケジュールについて見ていきましょう。
重要性
IPO準備における経理業務の重要性とは、財務情報を正確かつ詳細に共有しなければならないためです。
その理由は次の2つに集約されます。
【理由】
- 証券取引所の審査に通過しなければならないため
- 内部統制のために必要な業務であるため
まず上場するためには、証券取引所の審査に通過しなければなりません。
そのためには正確な過去の財務データが必要です。
財務諸表を整備することも必要ですし、ミスがあっては審査に通過できなくなる可能性が高まります。
そして上場するなら、透明性の高い財務管理が行われていることが重要となります。
一般的に、一般企業は上場準備企業に比べて内部統制がゆるく、外部監査対応も不十分であるとされることが多いものです。
理由は自由度が高いことと、内部統制が簡素である傾向があるため。
経理業務は内部統制を強化するうえでも欠かせません。
以上のように上場のためには、正確かつ詳細な財務データと内部統制が必要不可欠とされることから、経理業務はIPO準備において重要とされます。
業務内容
IPO準備企業における経理業務の内容は次のとおりです。
【業務内容】
- 財務諸表の作成および管理
- 内部統制システム構築
- 外部機関への対応
財務諸表を作成すること、内部統制システムを構築すること、金融庁や証券取引所、監査法人など外部機関への対応をすることが主な業務です。
IPOの成否は、上記で紹介した経理業務に大きく左右されます。
適切な対応ができるかどうかにより、IPOの行く末が決まることもあります。
スケジュール
IPO準備段階における経理業務のスケジュールは、いつ・どのくらいの時間をかけて・どのように対応するかを決めることが先決です。
上場をするときの経理業務では、大量のタスクが生じます。
それぞれのタスクをいつまでに終了させるべきかを考えたうえでスケジュールを立てましょう。
そのためにはどのくらいの時間をかけるのか、逆算しなければなりません。
経理業務を期日までに間に合わせるには、進捗管理シートを作成しましょう。
進捗に遅れが出ないよう業務を進められれば、IPO準備に関する問題は減らせます。
IPO準備の経理業務のポイント
それではIPO準備段階における経理業務のポイントについて解説していきます。
これから上場を検討されているなら、次の5つのポイントを参考にしながら、効率的に経理業務を進めてください。
ポイント①財務状況の見直し
まずは財務状況の見直しから始めましょう。
今までに行ってきた企業会計では、IPOに成功できないかもしれません。
なぜなら一般的な企業では、上場企業よりも会計基準が緩やかな場合が多いためです。
そのためIPOの準備段階に入ったら、一般的な基準で妥当だと考えられる会計基準によって財務諸表を作成しなければなりません。
これまでに作成した財務諸表を見直して、決算短信や有価証券報告書に掲載できるものであるかどうか確認しましょう。
IPOを成功させるには、まず財務状況の見直しから始めてください。
ポイント②経理担当者の採用・育成
経理担当者の採用や育成も必要となるかもしれません。
企業によっては経理担当者が1人しか在籍していないこともあるでしょう。
しかし上場するならば、経理に関するより専門的な知識が求められます。
経理業務の負担も増えることでしょう。
そこで検討したいのが、新たな経理担当者の採用と育成です。
即戦力となるような実力を持つ人材を新たに雇用し、経理部門を充実させましょう。
ポイント③業務の効率化
IPOの準備を行うなら、業務効率化も欠かせません。
上場企業では準備段階から経理部門の業務負担が増加します。
そのため業務効率化を行わなければ、従業員への負担が大きくなりすぎるだけでなく、IPO準備が間に合わなくなることも考えられるでしょう。
そこで実践したいのが、会計システムの変更や経理体制の見直しです。
より効率的な会計システムに変更したり、経理をアウトソーシングしたりなど、経理業務の効率化を目指しましょう。
IPOの成功には経理業務が大きく影響するため、今後の企業の未来を託す気持ちで業務効率化を行ってください。
ポイント④年間スケジュールの管理
IPO準備における経理業務は多岐にわたるため、年間スケジュールの管理を万全にしておくこともポイントのひとつです。
先にも解説しましたが、いつ何をすべきかをスケジュール表にして、視覚化しておくと良いでしょう。
上場に関する手続きは、書類の提出期限が厳格に決められています。
提出の遅れは許されません。
そのためそれぞれの書類の提出期限を明確にし、間に合うように年間スケジュールを管理してください。
ただし日常的な経理業務が生じることも含めて、スケジュールを立てるようにすることが大切です。
年間スケジュールを立ててそのとおりに業務を実行できれば、IPO準備はスムーズに進むでしょう。
ポイント⑤監査法人との連携
監査法人との連携を取ることも重要です。
IPOの準備をするには、外部機関との連携も必要となります。
自社だけでは解決できない問題が生じることもあるためです。
そのため監査法人との連携を取れるように準備をしておかなければなりません。
外部の力を借りれば、IPO準備に悩むこともなくなるはずです。
IPO準備の経理支援サービスとは?
IPO準備のための経理支援サービスとは、IPOに関する専門的な知識を有して、企業をサポートする存在です。
企業が上場するにはさまざまな専門的手続きが必要となりますが、自社だけで実施することは難しいため、多くの企業が経理支援サービスを活用しています。
それではIPO準備のための経理支援サービスについて、その重要性やサービスの内容についてご紹介します。
これから上場を検討されているなら、上場を成功させるための参考としてご覧ください。
必要性
経理支援サービスは、企業のIPO成功率を高めるうえで重要な役割を担います。
先に解説したように、IPOにはさまざまな専門的な手続きが必要となり、経理部門にて実施すべきことが多くなります。
そのため業務負担が増えたり、自社だけでは対処できなくなったりすることもあるでしょう。
そのようなときに頼れるのが経理支援サービスです。
サービスを利用すれば、経理のプロが業務を支援してくれるため、社内での業務負担が軽減されます。
専門的な手続きも正確かつ詳細に行えるため、IPOの成功率も高まるはずです。
経理支援サービスの重要性は、企業のIPO成功率を高められる点にあります。
サービスの内容
サービス内容は次のとおりです。
【サービス内容】
- 上場に関する手続きのサポート
- 上場に向けたスケジューリング
- 内部管理体制へのアドバイス
- 審査資料に関するサポート
- 財務状況・決算開示に対する提案
- 証券会社の紹介
- 上場後の企業支援
経理支援サービスを利用すれば、IPO準備段階から上場後まで導入効果を実感できるはずです。
準備段階ではスケジューリングやサポートを行い、証券会社の紹介も行います。
無事に上場した後でも投資家向け広報支援を実施するため、上場後も頼れる存在となるでしょう。
以上のように経理支援サービスではさまざまなサービスを提供しています。
サービスの種類
IPO準備企業向けのサービスには、次のような種類があります。
| 種類 | 担当 | 得意分野 |
| 会計士系 | 公認会計士 | 財務諸表適正化 内部統制報告制度への対応 開示資料整備 |
| 証券会社系 | 証券会社OB | 証券取引所とのコンタクト 株式公開スケジュールの検討・資本政策 |
| 士業系 | 弁護士・社会保険労務士・税理士 | コンプライアンス対応 リスクマネジメント整備 |
| その他 | 企業経験者・CFO | 企業管理者派遣 スポット支援 |
この中でも一般的なのは、会計士系と証券会社系です。
会計士系は会計・財務への対応を得意としており、証券会社系は株式市場や投資家に関する業務を得意としています。
士業系はコンプライアンスや法務関連、リスクマネジメントに強みがありますが、経理業務を中心に支援を求める場合には適さないことがあります。
その他、起業経験者やCFOなどが、個人的にIPO準備企業のサポートを行うサービスもあります。
以上のように種類により得意とする分野は違うため、自社が求めている業務を得意とする種類のサービスを選びましょう。
IPO支援サービスを導入する効果(メリット)
それでは最後に、IPO準備企業にとっての経理支援サービス導入効果についてご紹介します。
主なメリットを7つご紹介しますので、導入すべきかどうか判断するための参考としてご覧ください。
関連記事:IPO準備にかかる費用と経理支援サービスの利用について
メリット①コストの削減
まずはコスト削減効果が狙える点です。
IPOを実現するためには多大な労力がかかります。
そこで新たに人材を雇用しようとする企業もあるでしょうし、既存の従業員に残業を依頼することもあるかもしれません。
しかしいずれにしても人件費がかかります。
新たに人材を雇用した場合は、上場手続きが完了した後に、雇用した人材にお願いする業務がなくなってしまうことも考えられます。
それならば、経理支援サービスを利用したほうがコスト削減につながるでしょう。
IPO準備から経理支援サービスを利用して導入効果を得て、上場が完了した後に契約を解除したほうがコストパフォーマンスは高くなるはずです。
メリット②ミスの防止
ミスを防ぎやすくなることもメリットのひとつです。
IPO準備段階では会計ミスや税金の申告漏れは許されません。
審査に通過できなくなる可能性も高まります。
しかし経理支援サービスのスタッフは経理の専門家であり、ミスを起こす可能性は極めて低いと考えられます。
ミスの防止のために導入するのも良い活用法でしょう。
メリット③専門的なノウハウの提供
経理支援サービスを利用することには、専門的なノウハウを提供してくれるメリットもあります。
経理支援サービスとは、経理の専門家が企業へのサポートやアドバイスを行うサービスです。
そのためサービスの中で学べるノウハウは多々あるでしょう。
プロによる支援を受けることで、得られる知識はたくさんあるはずです。
利用によって専門的なノウハウを学べば、契約終了後の経理業務にも活かせるでしょう。
メリット④対応スピードのアップ
対応スピードが速くなることもメリットであると言えるでしょう。
IPOのための手続きは、それぞれの期日までに、多くの業務をこなさなければなりません。
社内の人員だけでは難しいかもしれませんが、IPOに慣れている経理支援サービスを利用すれば対応スピードが速まります。
どの業務をいつ開始して、いつまでに終わらせるか。
このロードマップを明確にし、期日までに終わらせることを得意としているためです。
IPOに関する手続きは、期日までに提出できなければ成功に至りません。
経理支援サービスを利用することによって、IPO成功への道が拓けるでしょう。
メリット⑤ガバナンスの強化
続いてのメリットは、ガバナンスの強化に役立つことについてです。
IPOではさまざまな法制度に対応しなければならず、さらに内部統制や取締役会、監査体制の整備も求められます。
経理支援サービスのスタッフは法制度や企業内の整備に関しての知識があり、ガバナンス強化に役立つでしょう。
メリット⑥信頼性の向上
経理支援サービスを導入することにより、信頼性の向上も期待できます。
外部からの支援を受けることは、外部機関にとっての安心材料となるためです。
証券会社や監査法人などにとっては、IPOへの真剣さを感じられる要素ともなります。
信頼性が向上することにより、IPOの成功につながりやすくなるかもしれません。
メリット⑦経理・法務・人事などの横断的なサポート
最後に、経理・法務・人事と、横断的なサポートが受けられることもメリットであると言えるでしょう。
経理支援サービスを提供する企業の中には、経理だけでなく法務や人事も得意としているところがあります。
IPO準備においては経理業務が重要となるでしょうが、同時に法務や人事に関する業務も任せられることがメリットです。
企業の中枢業務を一気通貫で任せられる点は、企業にとって大きなメリットとなるでしょう。
IPO準備の経理支援サービスには確かな導入効果が
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、IPO準備における経理支援サービスの導入効果についてご理解いただけたと思います。
経理支援サービスはIPO準備に役立つことはもちろん、IPO成功率を高める存在でもあります。
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