バイリンガル経理担当者育成のコツ&アウトソーシングのメリット

経理のアウトソーシングを検討されている方に向けて、バイリンガルの経理担当者育成について解説する記事です。

海外企業とのやり取りや取引では英語が欠かせません。

しかし経理担当者が英語を得意としない場合、企業間で認識のずれが生じやすくなります。

そのため、バイリンガルの経理担当者を育成することが求められます。

そこで今回の記事では、バイリンガルの経理担当者育成のためのコツと、経理アウトソーシングのメリットについてご紹介します。

参考にしていただければ、今後、経理業務をどのように改善していくべきか判断していただきやすくなるはずです。

このページの監修者
松下 省治
株式会社アイエーピー 代表取締役
専門は、国際税務、国際会計、国際組織再編。経歴はサン・マイクロシステムズ(株)およびSunMicrosystem Inc. 日本及び米国で勤務を行い、国際税務及び米国基準での会計に携わる。デル(株)経理財務部長として日本4社の経理部門の統括を行う。シトリックス・システムズ・ジャパン(株)日本および韓国法人の管理部門統括本部長。

経理担当者に英語力が求められる理由

まずは経理担当者になぜ英語力が求められるのか、その理由について見ていきましょう。

理由①海外企業と取引するため

海外企業と取引をするからというのがひとつめの理由です。

現在はインターネットを通じて海外企業と容易にやり取りできるため、海外企業と取引する企業が増えています。

そこで必要となるのが英語力です。

海外の企業ですから、当然のごとく日本語での取引はできません。

世界共用語である英語が必要となります。

特に経理では専門的な用語やビジネス用語を使うことも多く、レベルの高い英語力が求められるでしょう。

海外企業と取引をするなら、ビジネス英語をマスターしているレベルの英語力が必要となります。

理由②外資系企業や海外子会社と連携しているため

外資系企業や海外子会社と連携している場合も、英語力が欠かせません。
たとえば外資系企業が親会社であったり、子会社が海外に所在したりする場合は、日常的に英語を使用する機会が生じます。

英語を理解できなければ、円滑なコミュニケーションが取れません。

そのため親会社が求めていることを理解できなかったり、子会社の状況を把握しづらかったりと、ビジネスに支障が生じることも考えられます。

海外の企業と連携しているなら、ビジネス英語レベルの英語力は必須とも言えるでしょう。

理由③英文会計や国際会計基準(IFRS)に対応するため

英文会計や国際会計基準に対応するためにも英語力が求められます。

日本には日本の会計基準が存在しますが、海外では国際会計基準を用いている場合が多いでしょう。

そのため経理業務においては、海外と国内とでは会計基準が異なることが問題になりがちです。

国際会計基準で記帳された英語の書類を、日本の会計基準に置き換えて経理処理をしなければならないこともあります。

そのため経理業務では、特に高い英語力を持つ人物が求められる傾向です。

経理担当者に求められる英語力

海外の企業とのやり取りがある企業であれば、特に経理担当者に英語力が求められることを解説しました。

それでは経理担当者に求められる英語力とはどの程度のものなのでしょうか。

必要とされる能力をまとめました。

①英文の財務諸表や決算書などのリーディング力

まずは英文で記載された財務諸表や決算書を読み取る力です。

経理に関する単語を理解できるだけの英語力を求められます。

英文の経理関連書類を読み取るには、国際会計基準に関する知識も必要です。

特に海外に子会社があったり外資系企業であったりする場合は、英語で記載された財務諸表や決算書を読み取れなければなりません。

②英語の会議やプレゼンなどのリスニング力

英語の会議やプレゼンを理解できるだけのリスニング力も必要とされます。

海外企業とのオンラインミーティングに経理担当者が参加する場面もあるかもしれません。

インターネット技術の進化により、いつでもどこでも海外企業の担当者とミーティングをする機会を得られます。

そこで必要となるのがリスニング力です。

ビジネス英語をその場で理解できるレベルのリスニング力を求められるでしょう。

③英文で報告・連絡・相談を行うためのライティング力

英文で報告や連絡、相談を行うためのライティング力も必要です。

海外企業と取引をしている場合、子会社が海外にある場合、外資系企業に勤めている場合。

いずれにしても海外の従業員とメールをしたり、文書でやり取りをしたりする場面は多いはずです。

自分が言いたいことを英文で表現する力がなければ、相手とコミュニケーションを取れなくなってしまいます。

ライティングはリスニングやスピーキングと比べ、内容をじっくり考えながら取り組めます。

英語を話すのが苦手だったとしても、ライティング能力は備えておきたいところです。

④海外の支社・取引先と対話するためのスピーキング力

海外の支社や取引先の従業員と対話することがあるなら、スピーキング力も鍛えておきましょう。

リスニング力にて英語を聞き取れたとしても、それに対して返答ができなければコミュニケーションは成立しません。

経理担当者であれば、電話やビデオ通話などで対話をすることがあるかもしれません。

英語を聞き取ったうえで、自身の意図を的確に伝えられるスピーキング力が求められます。

⑤経理・会計の英単語を適切に使いこなす語彙力

必要となる英語能力のひとつが、経理・会計の英単語を適切に使いこなせる語彙力です。

英語を学べば日常会話はできるようになるでしょう。

しかしビジネス英語は日常会話とは違い、専門用語を多く含みます。

経理や会計に関する英単語を知らなければ、スピーキング力やリスニング力が高くともビジネスは成り立ちません。

バイリンガルの経理担当者を育成するのであれば、経理・会計関連の英単語の学習も必要です。

基本的な英語力はもちろん、プラスして専門用語も理解できる状態まで育成しましょう。

バイリンガルの経理担当者を採用・育成するコツ

経理担当者に求められる英語力は、ビジネスでも通用するものでなければなりません。

それではバイリンガルの経理担当者を採用・育成するにはどのようにすべきでしょうか。

コツをご紹介します。

関連記事:バイリンガルの経理アウトソーシングを利用するメリットについて

コツ①英語や経理・会計の資格を習得させる(TOEIC・IELTS・IFRS検定・BATIC・USCPAなど)

在籍している経理担当者の英語力を高めるには、英語や経理・会計関連の資格を習得させることが効果的です。

たとえば次のような資格であれば、実践の場でも役立つでしょう。

【資格一例】

  • TOEIC
  • IELTS
  • IFRS検定
  • BATIC
  • USCPA

TOEICとIELTSは英語の資格であり、IFRS検定・BATIC・USCPAは国際会計基準に関する資格です。

上記でご紹介した英語と会計の資格をそれぞれひとつずつでも習得すれば、経理担当として海外とのやり取りにも問題ないレベルに成長できるでしょう。

すでに在籍している経理担当者を国際基準に育成するなら、資格を習得させることがおすすめです。

コツ②ビジネス英会話の研修を実施する

ビジネス英会話の研修を実施することも方法のひとつです。

資格レベルの学習を企業の研修として行えれば、資格を取得しなくてもビジネス英語を学べるようになるはずです。

業務の一環となるため、経理担当者への負担も軽減されるでしょう。

業者によっては語学の研修依頼を請け負っているところもあります。

社内でのビジネス英語研修が難しければ、業務委託をして経理担当者を育成する方法も考えられるでしょう。

コツ③海外出張や駐在を通じて実務経験を積ませる

海外出張や駐在の経験を利用して、実務経験を積ませる方法もあります。

英語が得意でない従業員にとっては大変かもしれませんが、実際に海外に行けば短期間で実用レベルの英語を習得できます。

出張や駐在での海外滞在であれば、周りは日本人に対する理解が深い人が多いでしょうし、日本から同じように滞在している方も多いはずです。

企業が関与しない留学よりもハードルが低く、海外で語学経験を積むことができます。

バイリンガルの経理担当者育成を目指すなら、海外出張や駐在というシステムを活用してみてはいかがでしょうか。

コツ④アウトソーシングを活用する

バイリンガルの経理担当者を自社で育成するよりも、アウトソーシングを活用したほうが効果的な場合もあります。

もし経理担当者が全く英語力がない人物であったり、新たに経理担当者を雇用するのが難しかったりする場合です。

経理アウトソーシングであれば、担当者育成をしなくてもバイリンガルの担当者をすぐに据えられます。

アメリカ式の会計基準に関する知識も備えており、イチから教育・育成をするよりもコスト的・時間的な負担を軽減できるでしょう。

今すぐに英語力の高い経理担当者を雇用したいと思われるなら、バイリンガルが経理を担当するアウトソーシングを依頼する方法をおすすめします。

バイリンガルの経理アウトソーシングを活用するときのポイント

それではバイリンガルの経理アウトソーシングを活用するときのポイントについて解説します。

ポイント①英語と会計の専門性

ひとつめのポイントとなるのは、英語と会計の専門性に優れていることです。

英語力が高いことはもちろんのこと、経理を担当するのであれば会計に関する知識も身に着けていなければなりません。

両方の能力を持っている人物に業務を委託することで、より満足度の高いアウトソーシングの利用が叶うでしょう。

ポイント②外資系企業や海外企業との取引実績

外資系企業や海外企業との取引実績が豊富であることもポイントのひとつです。

実績の多い企業であれば英語力・会計の専門性ともに高いと判断できるでしょう。

またイレギュラーな事態が起きても、対応できるだけの能力を持っているかもしれません。

ポイント③英語でのレポートやコミュニケーション

英語でのレポートやコミュニケーションができることも重要なポイントとなります。

バイリンガルの経理担当者育成を目指す目的のひとつとして、海外企業とのコミュニケーションを円滑にすることがあげられるはずです。

英語力を駆使して海外の人と十分な報告・連絡・コミュニケーションを取れることは、経理アウトソーシングの基本と言えるでしょう。

ポイント④国際会計基準(IFRS)や各国税制の対応

経理担当者である以上、国際会計基準や各国の税制に柔軟に対応できる人物でなければなりません。

会計基準はもちろんのこと、国によって税制も異なります。

各国の会計基準に沿った業務を遂行できる人物に経理を依頼できれば、日本での経理担当者に対して海外に対応するための研修を行う必要もなくなるでしょう。

ポイント⑤セキュリティ対策や情報管理体制

セキュリティ対策と情報管理体制が万全であることも欠かせません。

経理業務に関する情報は、企業にとって機密事項に該当するはずです。

情報漏洩がないように、セキュリティ対策が行き届いている企業を選ぶことをおすすめします。

ポイント⑥料金体系と業務範囲

最後に料金体系と業務範囲のチェックも重要となります。

料金体系・業務範囲とも業者により異なりますが、料金に見合ったサービスを提供してくれるかどうかが最も重要なポイントです。

複数の業者に見積もりを依頼して、コストパフォーマンスの高い業者を選ぶようにしてください。

バイリンガルの経理担当者育成を考えているならアウトソーシングを

いかがでしたでしょうか?

この記事を読んでいただくことで、バイリンガルの経理担当者育成についてご理解いただけたと思います。

バイリンガルの経理担当者を育成することは可能ですが、企業側・担当者双方に大きな負担がかかります。

そこでおすすめするのがバイリンガルの経理アウトソーシングサービス。

iAPでは経理や人事業務の代行サービスを提供しており、担当者はバイリンガルで英語にも対応できます。

バイリンガルの経理担当者育成を検討している場合は、ぜひiAPへご相談ください。