【必見】社会保険料の計算方法を徹底解説!給与計算のコツも紹介

社会保険料は、健康保険や年金、雇用保険など、働くすべての人が支払う義務のある重要な費用です。
給与明細で見ることが多い社会保険料ですが、その目的や種類、負担割合を理解することは、生活設計に大いに役立ちます。

この記事では、社会保険料の基本から、負担割合、計算方法、よくある疑問点までを解説し、効率的な家計管理やライフプランに役立つ情報を提供します。
社会保険料を正しく理解し、適切に活用する方法を知っておきましょう。

このページの監修者
松下 省治
株式会社アイエーピー 代表取締役
専門は、国際税務、国際会計、国際組織再編。経歴はサン・マイクロシステムズ(株)およびSunMicrosystem Inc. 日本及び米国で勤務を行い、国際税務及び米国基準での会計に携わる。デル(株)経理財務部長として日本4社の経理部門の統括を行う。シトリックス・システムズ・ジャパン(株)日本および韓国法人の管理部門統括本部長。

社会保険料とは何か?

社会保険料は、健康保険や年金、雇用保険などの制度に必要な費用で、一定の条件を満たす人が支払う義務があります。
給与明細で毎月目にすることが多いこの社会保険料は、将来の医療、年金、失業などのリスクに備えるために重要です。
これらの費用は、個人だけでは十分にカバーできないリスクに備えるため、社会全体で支え合う仕組みとして運営されています。

ここでは、社会保険料の基本的な仕組みと、その重要性について解説します。

社会保険の基本的な仕組み

社会保険は、働く人々が病気やけが、老後、失業といったリスクに備えるため、会社と個人が保険料を支え合う仕組みです。
これにより、個人ではカバーできないリスクに社会全体で対応することができます。

日本では、会社員や公務員だけでなく、一定の条件を満たすパートやアルバイトも対象となります。
基本的に、会社が手続きを行うため、個人で申請する手間はありません。

負担割合や手続きは法的に定められており、会社と従業員が共同で負担しているため、公正で平等な社会保障制度が成り立っています。

パートやアルバイトの加入条件

パートやアルバイトも、一定の条件を満たすと社会保険に加入する必要があります。
具体的には、週20時間以上働く場合や、従業員数51人以上の企業で週20時間以上働き月額8万8千円以上の場合、社会保険への加入が求められます。
特に、勤務先や働き方により、短時間勤務でも加入が必要なケースがあるため、注意が必要です。

社会保険に加入することで、健康保険や年金の保障を受けることができ、毎月の給与から保険料が引かれることを理解しておきましょう。

社会保険料の種類とその負担割合

社会保険料にはさまざまな種類があり、それぞれに異なる負担割合と計算方法があります。
給与から差し引かれる社会保険料は、手取り額に大きな影響を与えます。
理解しておくことで、将来のライフプランや家計管理にも役立ちます。

健康保険や厚生年金保険は会社と従業員で半分ずつ負担しますが、雇用保険や労災保険は別の負担割合が設定されています。
これらの詳細について、以下で詳しく解説します。

健康保険料

健康保険料は、病気やけがによる医療費を補填するための保険料です。
加入することで、医療費の自己負担が3割に軽減され、病院での治療を受けやすくなります。

特に、長期入院や高額な医療費が発生した際に、その負担を軽減する重要な役割を担います。
健康保険に加入していることで、治療にかかる費用の負担が大幅に軽減できます。

企業によっては保険料率が異なるため、具体的な保険料額については自分の勤務先に確認することが重要です。
また、保険料率の変動は年に1度見直されるため、給与変動や法改正にも影響される点を理解しておきましょう。

厚生年金保険料

厚生年金保険料は、老後の年金に充てられる保険料です。
これに加入することで、老後の生活資金として年金が支給され、老後の生活の基盤となります。

厚生年金は、国民年金に上乗せされる形で支払われるため、将来受け取る年金額が大きく変わります。
特に、年金受給額を確保するためには、この保険の理解が不可欠です。

会社員の場合、会社と個人で半分ずつ負担しますが、負担額が大きいため、将来の生活設計に大きな影響を与える保険です。
老後の生活設計をしっかりと行うためには、厚生年金の理解とその管理が重要です。

介護保険料

介護保険料は、40歳以上を対象に、将来介護が必要になった場合に備えて支払う保険料です。
日本の高齢化社会を背景に、介護保険に加入しておくことで、介護が必要になった場合に経済的な支援を受けることができます。

介護保険料は年齢や給与に応じて変動し、40歳になると自動的に天引きが始まります。
この保険料は、将来の介護リスクに備えるために必要です。

介護保険に加入することで、将来介護が必要となった場合でも、経済的に大きな負担を軽減することができ、家族や本人の生活の安定に貢献します。

雇用保険料

雇用保険料は、失業時や職業訓練を受ける際に支給される給付金を賄うために必要な保険料です。
失業時に受け取る失業手当や育児・介護休業時の支援金がこの保険を通じて支払われます。
雇用保険料は給与に応じて計算され、労働者と会社が負担します。この保険は、失業リスクに備えるために欠かせない保険です。

雇用保険に加入していることで、万が一失業した場合でも生活を支える手当が支給されます。
これにより、次の仕事を見つけるための時間的余裕を得ることができ、失業者が安定した生活を送るための支援となります。

労災保険料

労災保険料は、仕事中の事故や災害によって負った怪我や疾病に備えるための保険です。
事故や怪我の治療費、休業補償、障害給付金などがこの保険を通じて支払われます。

労災保険は全額会社が負担するため、従業員が直接負担することはありません。
特に、危険を伴う職業に従事する場合に重要な保険となります。

労災保険は、職場での事故や災害に対して、即座に補償を提供するため、従業員の安全が確保されることに貢献します。
また、治療後の再発や長期療養に備えて、障害補償金や休業補償金も支給されるため、働く人々をサポートします。

保険料の負担割合と計算方法

社会保険料の負担割合は、健康保険料と厚生年金保険料は会社と個人で半分ずつ負担します。
雇用保険料は会社と従業員が分担し、労災保険料は全額会社が負担します。
これらの保険料は、給与額に基づいて標準報酬月額を使って計算されます。

年に1回、給与変動や法改正を反映して見直しが行われます。
見直し後、保険料率が変更される場合があるため、最新の負担額については定期的に確認することが大切です。

これにより、公的保障を受けるために必要な負担割合が決まります。

社会保険料の具体的な計算方法

社会保険料の計算方法は、給与明細に直接影響する重要な要素です。
毎月の給与から天引きされる社会保険料は、標準報酬月額や賞与額に基づいて計算されます。

保険料の種類によって計算方法が異なりますが、給与や手当の額を基にした詳細な計算が必要です。
これを理解しておくことで、実際の手取り額を予測しやすくなります。

ここでは、社会保険料の計算方法について詳しく解説します。

標準報酬月額を用いた計算

社会保険料は、標準報酬月額という基準額を用いて計算されます。
この基準額は、給与や手当の合計金額に基づいて設定され、一定の範囲に区分けされます。

標準報酬月額に保険料率を掛けることで、保険料が算出されます。
これにより、給与の変動があっても安定した基準で計算でき、急激な保険料の変動を避けることができます。

標準報酬月額の見直しは年に1回行われるため、変動に対応できる仕組みが確保されています。

健康保険料と厚生年金保険料の計算

健康保険料と厚生年金保険料の計算は、標準報酬月額に各保険の料率を掛けることで行います。
月収に応じた等級が適用され、その金額に対して一定の保険料率が決められています。
例えば、月収が28万円であれば、該当する等級で計算した金額に基づき、健康保険と厚生年金が算出されます。

これにより、月収に応じた公平な負担が求められ、個々の生活状況に合った保険料が適用されます。

介護保険料の計算手順

介護保険料は40歳以上の方を対象に、標準報酬月額に保険料率を掛けて計算します。
例えば、標準報酬月額が30万円、保険料率が1.80%であれば、介護保険料は「30万円×1.80%=5,400円」となります。
40歳になった年の誕生日以降、自動的に介護保険料が天引きされます。

介護保険料は、将来介護が必要になったときに備えるための重要な保険であり、早期の加入が推奨されます。

雇用保険料の計算方法

雇用保険料は、毎月の給与総額に一定の保険料率を掛けて計算されます。
例えば、労働者の負担分は0.6%、会社の負担分は0.95%であり、これに基づいて計算されます。
給与が20万円の場合、労働者が負担する雇用保険料は「20万円×0.6%=1,200円」となります。

雇用保険料は自動的に給与から差し引かれ、失業時や職業訓練に役立つ重要な支援金が提供されます。

労災保険料の計算方法

労災保険料は、給与総額に業種ごとの保険料率を掛けて計算され、全額会社が負担します。
業種によって保険料率が異なるため、例えば建設業や製造業では料率が高くなることがあります。
給与が30万円で料率が0.3%の場合、労災保険料は900円となります。

会社は毎月の給与計算時に正確な金額を算出し、業種ごとの料率を確認して支払うことが求められます。

社会保険料計算時の重要な注意点

社会保険料の計算には、給与や勤務状況に応じた細かなルールがあります。
特に、産休や育休中の免除や給与変動による保険料の見直しが関係してきます。

社会保険料は月単位で計算され、月途中の入社や退職でも日割り計算はされません。
この仕組みを理解しておくことは、給与計算の際に不安を感じることを防ぎます。

ここでは、社会保険料計算時の注意点について解説します。

産休・育休中の保険料免除について

産休や育休中は、一定の条件を満たせば社会保険料が免除されます。
これにより、出産や育児による家計負担を軽減でき、安心して家庭と仕事の両立が図れます。
特に、長期の休業を取得する場合に経済的なサポートを受けることができ、重要な支援となります。

健康保険や厚生年金保険料の免除は、手続きを通じて申請が必要です。
免除期間中も保険資格は維持され、将来の年金額に影響はありません。これは、年金額を確保するためにも大切な制度です。

この制度を利用することで、安心して出産や育児に専念することができます。

日割り計算はされない理由

社会保険料は「標準報酬月額」を基準に月単位で計算されるため、日割り計算は行われません。
月の途中で入社や退職があっても、その月の保険料は全額発生します。
この仕組みは、計算の簡素化と誤差を防ぐために設けられた全国共通のルールです。

これにより、計算のミスを減らし、安定した保険料の運営が可能となります。
日割り計算が行われないことを理解しておくことで、給与計算時に不安を感じることが減ります。

また、月末に退職した場合も、保険料の支払いがスムーズに行われるため、手続きの負担を軽減することができます。

給与の変動と保険料の関係

給与が変動すると社会保険料も変わりますが、毎月の給与の変動が即座に反映されるわけではありません。
社会保険料は標準報酬月額に基づいて計算され、年に1回見直されます。
このため、年に1回の見直しを通じて、給与変動に合わせた保険料調整が行われます。

ただし、給与が大きく変動した場合には「随時改定」が行われ、その後の保険料が見直されます。
給与が大きく上昇した場合でも、適切な保険料が反映されることになります。

給与変動時に保険料の見直しが必要な場合があることを理解しておきましょう。

賞与に対する社会保険料の扱い

賞与にも社会保険料が課されることを知らない方も多いですが、給与と同様に保険料が引かれます。
賞与ごとに社会保険料が計算され、毎回明細で確認する必要があります。

賞与が多い年には保険料が増加することがあるため、その都度確認することが重要です。
保険料率を掛けて計算される賞与には上限額も設定されており、高額な賞与でも保険料が無制限に増えることはありません。

ここでは、賞与にかかる社会保険料の計算方法について詳しく解説します。

ボーナスも保険料の対象になる

ボーナス(賞与)も健康保険料や厚生年金保険料など、社会保険料の対象となります。
賞与額に保険料率を掛けて計算され、標準報酬月額とは別に「標準賞与額」として扱われます。

法律により賞与も「報酬」と見なされており、毎回支給時に計算されます。
高額な賞与があった場合でも、保険料には上限があるため、無制限に増え続けることはありません。

ボーナス支給時の保険料引き落としについても理解しておきましょう。

社会保険料控除の活用法

社会保険料控除を活用することで、年末調整や確定申告を通じて所得税や住民税を軽減できます。
社会保険料控除とは、給与から天引きされた保険料を年間所得から差し引き、税額を算出する制度です。
支払った社会保険料が多いほど、課税所得が減り、税金が軽減されます。

会社員であれば年末調整で自動的に処理されますが、自営業やフリーランスの場合は確定申告時に証明書を提出する必要があります。

まとめ:社会保険料の計算方法と給与計算のコツを押さえよう

社会保険料は、健康保険、年金、雇用保険など、私たちの生活に欠かせない制度を支えるために必要です。
産休や育休、給与の変動による調整方法や、ボーナスにかかる社会保険料なども重要なポイントです。
正しい知識を持ち、適切に計算・手続きを行うことで、安心して将来に備えることができます。

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