外資系企業の経理アウトソーシング成功事例とメリット・導入の流れ

外資系企業が日本で事業を展開する際、経理業務は多くの複雑な課題に直面します。
海外本社の会計基準や報告フォーマットに従いながら、日本独自の会計・税務ルールにも対応する必要があるため、業務の整合性を保つことは容易ではありません。

専門知識に加えて英語力を備えた人材の確保など、人的・時間的負担も大きく、経理部門の運営には高い対応力が必要です。

今回は、外資系企業が抱える経理業務の課題と、経理をアウトソーシングするメリットを紹介します。

外資系企業が抱える経理の課題

外資系企業が日本で事業を展開する際、経理業務にはさまざまな課題が存在します。
海外本社の基準や規則に従いながら、日本の会計・税務ルールにも対応しなければならず、両者の整合性を取ることは簡単ではありません。

社内外で使用する書類や帳票の多くは日本語が求められる一方で、本社報告や監査対応では英語による資料作成が必要です。
こうした二言語管理の負担が各所で発生するため、英語力と専門知識を併せ持つ経理人材の確保・育成も求められます。

日本独自の会計基準や税制度への対応

外資系企業にとっては、日本独自の会計基準や複雑な税制度への対応が大きな課題となります。
IFRS(国際財務報告基準)やUS-GAAP(米国会計基準)を採用する海外本社では、日本の財務処理を本社基準と整合させるため、高度な知識と対応力が欠かせません。

海外と日本の会計基準の違いを把握し、適切に処理するためには、知識と経験を備えた人材を確保する必要があります。
外資系企業では、高度な人材確保と経理業務の正確性・効率性の両立が課題のひとつです。

英語と日本語の帳票や書類の管理

外資系企業では、日本国内で作成する書類は日本語による記載が必要ですが、本社への報告や監査対応には英語での記載が求められます。

このため、帳票や会計書類を二言語で管理する体制が不可欠です。

しかし、英語への翻訳やフォーマット統一には高い対応力が求められ、ミスや情報の齟齬が生じるおそれがあります。

特に、英語での会計用語理解や日本語文書の正確な英訳は専門性を要するため、担当者は語学力と会計知識をどちらも有していなければなりません。

こうした負担が経理部門の生産性を下げる一因になります。

決算やレポーティングのスピードが求められる

外資系企業では、グローバル本社の報告スケジュールに合わせて迅速な月次・四半期・年次決算が求められます。

日本の会計処理が完了していなくても、本社の締め日に間に合わせる必要があるため、厳しいスケジュールの中で作業を進めることになります。

また、本社が求める形式でのレポーティングやデータ集計が必要となるため、日本基準からの調整や再分類も発生します。

これにより、担当者の残業や人的負荷が増し、ミスのリスクも高まります。

スピードと精度を両立する体制づくりは、外資系企業の経理部門にとって大きな課題の一つとなっています。

経理担当者の採用・育成が難しい

外資系企業では、会計知識・英語力・国際会計基準への理解といった幅広いスキルを持つ人材が求められます。
特に中小規模の外資系子会社では採用コストや教育リソースが限られており、経験豊富な人材を長期的に確保するのが難しい状況です。

経理担当者に業務を一任すると属人化が進み、退職時の引き継ぎが滞るおそれがあります。
業務の効率化や内部統制の強化が進まない場合は、経理機能全体の安定運営が難しくなるため、アウトソーシングの活用が有効です。

外資系企業が経理アウトソーシングを活用するメリット

ここからは、外資系企業が経理アウトソーシングを活用する主なメリットを紹介します。

日本の会計基準や税務に精通した専門家に任せられる

経理アウトソーシングを利用すれば、日本の会計基準や税務処理に詳しい専門家に業務を任せられます。
外資系企業では本社基準との整合性を保ちながら日本の法令に準拠する必要があるため、外部の専門家のサポートは大きな強みです。

自社で対応する場合、法令違反や申告ミスによるリスクが高まり、監査対応の負担も増大します。
専門家が最新の法改正や会計基準に基づき処理を行うことで、税務リスクを軽減し、経理品質の安定化につなげられます。

法改正や税制変更への対応をプロに任せられる

日本では税法や社会保険関連法の改正が頻繁に行われるため、常に最新情報を把握して対応するのは容易ではありません。
経理アウトソーシング会社は法改正への対応を日常的に行っており、企業側は情報収集や制度理解に時間を割く必要がなくなります。

外資系企業では、海外本社への説明や新ルールへの適用方針を整理する作業も発生しますが、専門家のサポートにより迅速に対応可能です。
これにより、法令遵守と業務効率化の両立が実現します。

経営リソースをコア業務に集中できる

経理アウトソーシングを導入することで、バックオフィス業務に充てていた人材や時間を、戦略立案や事業拡大といったコア業務に集中できます。
外資系企業では本社との連携や市場戦略が重要課題となるため、事務的業務を外部に委ねることで経営効率を高められます。

外部専門家のサポートを受けることで、組織全体のパフォーマンス向上と意思決定の迅速化が見込めます。

経理業務を標準化・効率化できる

アウトソーシングを導入しない場合、業務プロセスは属人的になりやすく、作業の重複やミスが発生しやすい点がデメリットです。

内部統制も不十分になり、業務効率や透明性が低下するリスクがあります。

しかし、多数の企業支援実績を持つ企業へのアウトソーシングは経理業務のプロセスを標準化し、業務に適したワークフローやシステムを導入して、効率的に業務を遂行します。

作業の重複やミスを防ぎ、正確かつ効率的な経理運営を実現します。加えて、定期的なレポート提供やチェック体制の整備により、内部統制の強化も図れます。

外資系企業にとっては、グローバル基準に合わせた業務の透明化にも役立てられるサービスです。

英語対応やグローバル報告書作成にも柔軟に対応できる

外資系企業では、英語による本社向けのレポートや財務報告の作成が不可欠です。

アウトソーシングを利用しない場合、すべてを社内で実施する必要があるため、負担が大きくなります。

担当者がいない場合やリソースが限られている場合、レポートの提出遅延や誤訳による情報齟齬が発生する可能性もあります。

経理アウトソーシング会社には、英語対応に強みを持つスタッフやチームが在籍しており、日本語帳票から英語レポートへの翻訳や整形をスムーズに行えます。

本社報告に必要なデータを短期間で正確に提出でき、国際的なコンプライアンス要求にも対応できます。

海外監査対応やグローバル基準の会計処理にも柔軟に対応できる点は、外資系企業にとって大きなメリットといえるでしょう。

人件費や教育コストを削減できる

経理業務を社内だけで行う場合、固定的な人件費がかかります。

退職や異動による業務停滞のリスクや、教育コストの増加も課題のひとつです。

しかし、経理業務を外部委託することで、自社で経理担当者を採用・育成するためのコストを削減します。

採用や教育研修にかかる費用、社会保険料や福利厚生費といった固定的な費用負担を抑え、必要な時期に必要なサービスだけを利用するという柔軟なコスト管理が可能になるでしょう。

経理アウトソーシングは、特に人材確保が難しい外資系企業にとって、コスト面と安定運営の両方で有効な解決策となります。

外資系企業の経理アウトソーシング成功事例

ここでは、外資系企業の経理アウトソーシング成功事例についてみていきましょう。

ボッシュエンジニアリング株式会社

ボッシュエンジニアリング株式会社は、ドイツを拠点に展開する自動車関連会社です。

iAPの経理代行サービスとして、毎月の支払い・請求書発行・記帳業務を利用しています。

KGアンドカンパニー株式会社

KGアンドカンパニー株式会社は、決済システムの開発・導入を行っている会社です。

日本国内および海外の関連会社10社が iAPの経理代行サービスをアウトソースしています。

外資系企業の経理アウトソーシング導入の流れ

外資系企業が経理アウトソーシングを導入する流れは次のとおりです。

  • 現状の経理業務を可視化
  • 委託する業務範囲を明確にする
  • アウトソーシング会社の候補を比較
  • 業界経験や英語対応力、会計基準の知識を確認
  • 契約を締結した後、移行計画を立てる
  • 帳票やデータの共有方法を決定
  • レポート形式やスケジュールのすり合わせ
  • 定期ミーティングの実施
  • レビューによる改善点の共有
  • 運用を継続的し最適化する

はじめに、現状の経理業務を可視化し、委託範囲を明確にします。

次に、候補となるアウトソーシング会社を比較し、業界経験・英語対応力・会計基準の知識などを確認します。

契約締結後は、移行計画を策定し、帳票やデータの共有方法・レポート形式・スケジュールなどをすり合わせる必要があります。

業務移行後も定期的なミーティングやレビューを実施し、改善点を共有しながら運用を最適化します。

こうしたプロセスを丁寧に進めることで、スムーズな移行と長期的な信頼関係の構築が可能になります。

導入初期にはトライアル期間を設け、運用の精度やスピードを確認することが望ましいです。

外資系企業が経理アウトソーシングを活用する際の注意点

経理アウトソーシングを活用する際には、単にコスト削減を目的とするのではなく、業務の品質と情報管理の両面を重視することが不可欠です。

はじめに確認したいポイントは、委託先のセキュリティ体制です。

経理データには取引先情報や給与データなど、機密性の高い情報が含まれるため、データ保護の仕組みやアクセス権限の設定ルールを事前に確認することが重要です。

外資系企業の場合、日本の会計基準への対応力に加え、海外本社の報告基準やレポート形式にも対応できる体制が整っているかを確認することが重要になります。

業務範囲や責任の所在を契約書で明確にし、トラブル発生時の対応手順を具体的に定めておくことも欠かせません。

導入後は定期的に報告会やレビューを実施し、成果物の品質や納期、コミュニケーションの円滑さを確認することで、問題を早期に発見し改善につなげられます。

経理アウトソーシングは外資系企業の業務効率向上に貢献

今回は、外資系企業が抱える経理業務の課題や、経理をアウトソーシングするメリットを紹介しました。

外資系企業が日本で事業を行う際、海外にある本社と日本の会計・税務ルールの両立や二言語対応の必要性に迫られ、人材の確保や迅速な対応と多くの課題に直面することがあります。

経理アウトソーシングは、専門知識をもつプロが対応することで、経営リソースを本来のコア業務に集中させられます。

iAPの経理アウトソーシングは、経理・人事・国際ビジネス・給与計算を専門のスタッフが担当するサービスです。

バイリンガルスタッフが国際ビジネスや外資系経理業務を担当し、二言語対応の負担を軽減します。