経理アウトソーシングを検討する際は、料金相場だけでなく、契約形態や委託範囲、初期費用、追加オプションまで確認することが重要です。
記帳や給与計算、請求書処理などを外部へ任せれば、社内の負担軽減や業務の標準化が期待できます。
本記事では、料金体系、業務別の費用目安、主な委託先の特徴、メリット、費用対効果を高める選び方、コストを抑える方法を分かりやすく解説します。
経理アウトソーシングの費用相場と料金体系
経理アウトソーシングの費用は、委託する業務範囲や処理量、契約方法によって異なるのが一般的です。
料金体系には時間契約型、従量課金型、月額固定型があり、初期費用や追加オプションも総額へ影響します。
ここでは、主な料金体系と費用が変動するポイントを解説します。
時間契約型・従量課金型・月額固定型の料金体系
時間契約型は、担当者の稼働時間に応じて料金が決まる方式で、短期間の支援や業務量が読みにくい場合に向いています。
従量課金型は、仕訳数や請求書枚数などの処理件数に応じて費用が増減する仕組みです。
一方、月額固定型は、あらかじめ定めた業務範囲を一定額で依頼できるため、予算を管理しやすい特徴があります。
そのため、最低料金、超過単価、対象外業務を確認し、自社の処理量に合う方式を選びましょう。
契約時に発生する初期費用の目安
初期費用は無料のサービスもありますが、月額料金の数か月分や個別見積もりとするケースもあるものです。
なお、金額は事業者や業務の複雑さによって異なり、初期費用がかからないサービスもあります。
また、資料が整理されていない場合や複数システムの連携が必要な場合は、追加費用が生じることもあるでしょう。
業務移行や設定範囲によって異なるため、金額と作業内容を確認してください。
オプション追加による費用の変動
基本プランへ請求書発行、振込データ作成、領収書整理、給与計算、月次報告などを追加すると、オプション料金が発生する場合があります。
なお、料金は1件ごとの従量課金や月額固定など、事業者によって設定方法が異なります。
また、急ぎの処理や取引先への連絡、紙資料の郵送費が別料金になることもあるでしょう。
契約前に標準業務と対象外業務を区分し、追加単価や上限額、業務量が増えた際の料金変更条件を確認してください。
【業務別】経理アウトソーシングの料金相場一覧
経理アウトソーシングの料金は、記帳、給与計算、請求書処理、決算支援など、依頼する業務によって異なります。
公的な統一相場はないため、公開料金は目安として確認し、自社の処理件数や必要な支援を伝えて見積もりを取ることが重要です。
ここでは、業務別の費用の考え方を解説します。
記帳代行の費用目安
記帳代行の料金は、月間の仕訳数、証憑の状態、部門別集計の有無、使用する会計ソフトなどによって決まります。
1つの目安として、記帳代行は100仕訳まで月額5,500円~22,000円程度の公開例があります。
なお、仕訳数が少ない場合に月額数千円から提示されるサービスもありますが、件数が増えたり、紙資料の分類や内容確認が必要になったりすると費用は上がるかもしれません。
そのため、基本料金に含まれる仕訳数、超過単価、資料整理、修正対応の範囲を確認し、繁忙期を含む年間の処理量で見積もりを比較しましょう。
給与計算代行の費用目安
給与計算代行は、基本料金に従業員1人当たりの単価を加える方式や、人数帯ごとの月額固定方式が一般的です。
目安として、月額10,000円~20,000円程度です。
具体的に、勤怠集計や賞与計算、住民税更新、入退社対応などを追加すると、別途費用が生じる場合があります。
また、雇用形態や手当の種類が多い企業は確認工程が増え、料金も高くなりやすいでしょう。
対象人数、勤怠データの形式、締め日、修正回数を整理し、年間総額で比較することが大切です。
請求書発行・支払業務の費用目安
請求書発行や支払業務の料金は、発行枚数、支払件数、承認フロー、取引先への連絡の有無によって変わります。
なお目安の1つとして、月10件程度で15,000円~30,000円程度が目安です。
また、月額固定のほか、1通または1件ごとの従量課金を採用するサービスもあります。
なお、郵送費、振込手数料、システム利用料、急ぎの処理が別料金になる場合もあるため注意が必要です。
見積もりでは、請求書作成から送付、入金消込、振込データ作成まで、どこまで含まれるかを確認しましょう。
年末調整・決算書作成・法人税申告の費用目安
年末調整、決算資料の整理、法人税申告は、それぞれ必要な資格や業務範囲が異なります。
目安として、月額10,000円~30,000円程度です。
なお、年末調整では、申告書の回収やデータ入力などの事務補助を依頼できる場合があります。
ただし、控除判断、税額計算、源泉徴収票等の税務書類作成を外部へ委託する場合は、税理士等の適法な関与体制を確認してください。
また、料金は従業員数、仕訳数、消費税申告の有無、帳簿の状態によって変わるため、公開料金だけで判断できません。
資格者の関与、追加料金、申告期限まで確認して見積もりを取りましょう。
経理アウトソーシングの主な委託先と特徴
経理アウトソーシングの委託先には、経理代行会社、税理士事務所、公認会計士事務所、BPO企業、クラウド会計ソフト会社、フリーランスなどがあります。
対応業務や専門性、料金体系が異なるため、依頼目的と必要な支援を整理して比較することが重要です。
ここでは、各委託先の特徴を解説します。
経理代行を専門とする企業
経理代行を専門とする企業は、記帳、請求書処理、経費精算、給与計算など、日常的な経理実務を幅広く支援します。
複数人で対応する体制を持つ企業では、担当者の休職や退職があっても業務を継続しやすい点が特徴です。
ただし、税務相談や申告、社会保険手続きは資格者でなければ対応できません。
そのため、料金体系、担当体制、使用できる会計ソフト、再委託の有無、資格者との連携方法を確認して選びましょう。
税理士事務所・会計事務所
税理士事務所では、記帳代行に加えて、税務相談、税務申告、税務調査への対応まで依頼できる場合があります。
税務に関する業務をまとめて相談したい企業には有力な選択肢です。
一方、請求書発行、入金消込、経費精算などの日常業務には対応していない事務所もあります。
また、「会計事務所」は法律上の資格名称ではないため、税務業務を依頼する際は税理士の在籍を確認しましょう。
公認会計士事務所
公認会計士事務所は、会計監査、内部統制、上場準備、複雑な会計処理などを得意とする場合があります。
経理実務だけでなく、管理体制の整備や財務報告の高度化を求める企業に適しています。
ただし、すべての事務所が記帳代行や給与計算へ対応しているとは限りません。
また、税務申告を依頼する場合は、税理士登録や税理士法人との連携を確認する必要があります。
BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)企業
BPO企業は、経理だけでなく、人事、給与計算、総務、情報システムなど、複数の業務プロセスをまとめて支援する場合があります。
大量の処理や複数拠点に対応する体制を持ち、業務の標準化やシステム導入まで相談できる点が特徴です。
ただし、最低契約規模や導入期間が設定されることもあり、小規模な業務では割高になる可能性があります。
したがって、対応範囲、初期費用、運用体制、資格者との連携を確認しましょう。
クラウド会計ソフト提供会社のサポート
クラウド会計ソフト提供会社のサポートは、初期設定や操作方法、データ連携など、ソフトの利用を支援するサービスです。
また、銀行口座やカード明細を連携すれば、入力や共有の手間を減らせる場合があります。
ただし、一般的なサポートは操作案内が中心で、記帳代行や税務相談まで含まれるとは限りません。
有人代行サービスの有無、対応範囲、追加料金、利用人数、問い合わせ方法を確認し、経理実務の委託と区別して利用しましょう。
フリーランスの経理担当者
フリーランスの経理担当者は、業務内容や稼働時間を相談しながら柔軟に依頼できる場合があります。
ただし、企業へ委託する場合と比べ、管理費を抑えられる可能性がある一方、経験や対応範囲、情報管理の水準は個人によって異なります。
また、病気や休業時の代替体制がないケースにも注意が必要です。
経理経験、保有資格、過去の実績、秘密保持、データ管理、事故時の対応、再委託の可否を契約前に確認しましょう。
経理アウトソーシングを利用するメリット
経理アウトソーシングを活用すると、採用や教育の負担軽減、業務の標準化、コア業務への集中などが期待できます。
ただし、効果は委託範囲や担当体制、自社の管理方法によって異なるものです。
ここでは、人材、属人化、リソース配分、業務品質の観点から主なメリットを解説します。
人材不足への対応と採用負担の軽減減
経理アウトソーシングを利用すると、新たな担当者の採用だけに頼らず、必要な業務を外部のスタッフへ任せられます。
求人広告、面接、教育、引き継ぎにかかる時間や費用を抑えられる場合もあるでしょう。
また、繁忙期だけ業務量を増やせるサービスなら、固定的な人件費を抱えずに対応できます。
ただし、委託料や社内の管理工数を含めると割高になることもあります。
年間の総コストと業務継続性を比較してください。
経理業務の属人化を緩和できる
経理業務の手順や判断基準を文書化し、複数人で対応する委託先を利用すれば、特定の担当者だけに業務が集中する属人化を緩和できます。
また、担当者の退職や休職が生じても、手順書や作業履歴を共有していれば、業務を引き継ぎやすくなるでしょう。
ただし、委託先へ任せきりにすると、外部で新たなブラックボックス化が生じる可能性があります。
自社でもデータと手順書を保管し、定期的に処理内容を確認してください。
コア業務にリソースを集中できる
記帳、請求書処理、給与計算などの定型業務を外部へ任せると、社内の担当者が営業、商品開発、経営分析などへ時間を配分しやすくなります。
特に、経営者や管理部門が経理実務を兼務している企業では、負担軽減が期待できるでしょう。
ただし、資料提出、承認、取引内容の説明など、自社に残る業務もあります。
導入前後の作業時間を測定し、生まれた時間をどの業務へ振り向けるか決めることが大切です。
専門スタッフによる業務品質の安定が期待できる
経理実務に詳しい担当者へ業務を委託すると、処理手順の標準化や入力漏れの削減が期待できます。
複数人による確認や月次報告があるサービスでは、業務品質を安定させやすいでしょう。
ただし、担当者の経験、保有資格、確認体制は委託先によって異なり、すべての処理が自動的に正確になるわけではありません。
そのため、担当体制、業種経験、修正方法、ミス発生時の報告手順を確認し、自社でも成果物を点検してください。
費用対効果を高める経理アウトソーシング会社の選び方
経理アウトソーシング会社を選ぶ際は、料金だけでなく、対応範囲、担当者の専門性、セキュリティ、連絡体制、契約条件を確認することが重要です。
安価でも必要な業務が含まれなければ、追加費用や手戻りが生じます。
ここでは、費用対効果を高めるための選定ポイントを解説します。
料金と業務範囲のバランスを見極める
月額料金が安くても、必要な業務が対象外であれば、オプションの追加によって総額が高くなる場合があります。
一方、幅広い業務を含むプランでも、自社に不要な作業が多ければ割高です。
まず、記帳、請求書処理、給与計算、月次報告など、依頼したい業務を洗い出しましょう。
そのうえで、基本料金に含まれる件数、成果物、追加単価、初期費用をそろえて比較し、年間の総額と削減できる社内工数から判断してください。
担当スタッフの専門知識とスキル
経理アウトソーシングの品質は、担当者の経験や確認体制によって左右されます。
契約前に、経理実務の経験年数、担当した業種、使用できる会計ソフト、保有資格を確認しましょう。
ただし、資格があるだけで自社の業務へ適切に対応できるとは限りません。
特殊な取引や部門別管理がある場合は、具体的な処理方法を説明できるかも重要です。
また、担当者不在時の代替体制や、上席者による確認工程も確認してください。
セキュリティ対策の徹底度
経理アウトソーシングでは財務情報や個人情報を共有するため、情報管理体制を具体的に確認する必要があります。
そのため、データの暗号化、アクセス権限、端末管理、入退室管理、バックアップ、従業員教育、再委託先の管理について質問しましょう。
なお、プライバシーマークやISMSは判断材料になりますが、取得だけで事故を防げるわけではありません。
事故時の報告、復旧手順、損害への対応、契約終了後のデータ削除まで確認してください。
コミュニケーション体制と対応スピード
経理業務では締め日や支払期限があるため、連絡方法と回答時間を事前に確認することが重要です。
そのため、専任担当者の有無、メール、電話、チャットなどの対応手段、緊急時の窓口を確認しましょう。
ただし、返信が速いだけでなく、回答内容が正確で、担当者間の認識が統一されていることも大切です。
成果物の提出日、問い合わせへの標準回答時間、担当者不在時の代替体制を契約前に取り決めておくと安心です。
契約内容の透明性と柔軟性
契約前には、基本料金に含まれる業務、対象件数、追加料金の条件、契約期間、解約方法を確認しましょう。
業務範囲が曖昧な場合、開始後に対応漏れや想定外の費用が生じる可能性があります。
また、事業拡大や処理量の変化に応じて、プランや委託範囲を変更できるかも重要です。
くわえて、変更手数料、反映時期、料金改定の条件、データ返却の形式まで契約書へ記載し、口頭で合意した内容も文書に残してください。
経理アウトソーシングの費用を抑えるコツ
経理アウトソーシングの費用を抑えるには、必要な業務を整理し、条件をそろえて複数社を比較することが重要です。
クラウド会計を活用して資料共有や入力の手間を減らす方法もあります。
ここでは、不要な追加料金を避け、費用対効果を高めるための具体的な方法を解説します。
依頼業務の範囲を明確にする
費用を抑えるには、現在の経理業務を洗い出し、自社で行う作業と外部へ任せる作業を分けることが重要です。
すべてを委託すると負担は減りますが、必要性の低い業務まで含めれば料金も上がります。
また、記帳、請求書発行、給与計算などへ優先順位を付け、成果物、処理件数、締め日を具体的に伝えましょう。
さらに、依頼範囲が明確であれば、見積もりの精度が高まり、認識のズレや不要なオプションを防ぎやすくなります。
複数社から相見積もりを取る
複数社から見積もりを取ると、料金だけでなく、対応範囲、追加費用、担当体制の違いを比較できます。
ただし、各社へ異なる条件を伝えると正確に比べられません。
仕訳数、従業員数、依頼業務、資料の提出方法、希望納期をそろえて依頼しましょう。
また、月額料金が安くても、初期設定や修正対応が別料金になる場合があります。
年間総額、契約期間、解約条件、サポート内容まで確認することが大切です。
クラウド会計ソフトを併用する
クラウド会計ソフトを利用すると、銀行口座やカード明細を取り込み、入力や資料共有の手間を減らせます。
委託先と同じデータを確認できるため、郵送や再入力の削減にもつながるでしょう。
ただし、自動仕訳は候補を示す機能であり、すべての取引を正しく判断できるわけではありません。
また、ソフト利用料が必要です。
対応ソフト、確認担当者、アクセス権限、電子データの保存方法を決め、総費用で効果を判断してください。
まとめ:経理アウトソーシングの費用相場と選び方のポイント
経理アウトソーシングの費用は、委託する業務、処理件数、契約方法、初期設定、追加オプションなどによって変わります。
時間契約型、従量課金型、月額固定型にはそれぞれ特徴があるため、自社の業務量や予算に合う方式を選びましょう。
また、記帳や給与計算、請求書処理、決算支援などは、対応範囲や必要な資格も異なります。
そのため、依頼先を選ぶ際は、料金だけでなく、担当者の専門性、セキュリティ、連絡体制、契約条件まで比較することが大切です。
複数社へ同じ条件で見積もりを依頼し、年間総額と削減できる社内工数を確認したうえで、費用対効果の高いサービスを選びましょう。
経理アウトソーシングの費用を調べても、「自社ではいくらかかるのか」と迷うことがあります。
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