請求書の保管方法に悩む方へ!原本の整理やファイリングのコツを大公開

積み重なった請求書・書類のファイル

請求書は、受領分と自社発行分、紙原本と電子データで保管方法が異なります。
保存期間や電子帳簿保存法、インボイス制度の要件を誤ると、税務調査や経理処理で確認に手間がかかるかもしれません。

本記事では、請求書の基本的な保管ルール、法人・個人事業主の保存期間、紙原本の整理方法、電子化する際の注意点を解説します。
取引先別や月別の分類、クラウド請求書受領システムの活用方法も押さえ、実務で迷わない管理体制づくりに役立てましょう。
経理担当者の引き継ぎにも活用できます。

このページの監修者
松下 省治
株式会社アイエーピー 代表取締役
専門は、国際税務、国際会計、国際組織再編。経歴はサン・マイクロシステムズ(株)およびSunMicrosystem Inc. 日本及び米国で勤務を行い、国際税務及び米国基準での会計に携わる。デル(株)経理財務部長として日本4社の経理部門の統括を行う。シトリックス・システムズ・ジャパン(株)日本および韓国法人の管理部門統括本部長。

請求書の適切な保管方法とは?受領・発行別の基本ルール

請求書は、取引内容を示す証拠書類として、受領分と自社発行分を分けて保管する必要があります。
保管方法を整理しておくと、税務調査や取引先からの確認にも対応しやすくなるでしょう。

以下では、請求書の適切な保管方法とは?受領・発行別の基本ルールを解説します。

取引先から受領した請求書の保管

取引先から受領した請求書は、紙と電子データで保管方法を分けて整理することが重要です。
紙の請求書は、受領日や取引先ごとに分類し、ファイルやインデックスで探しやすい状態にしておきます。
また、電子データの場合は、取引先名、受領日、請求月などをファイル名に入れると検索しやすくなります。

さらに、紛失や取り違えを防ぐため、担当者以外でも確認できる管理ルールを整え、必要なときにすぐ確認できる状態を保ちましょう。
月次処理のたびに同じ基準で保管できるようにしておくと、確認作業も安定します。

自社で作成・発行した請求書控えの保管

自社で作成・発行した請求書の控えは、取引先別や発行年月別に整理して保管します。
控えには、発行日、請求先、金額、取引内容などが確認できる状態にしておくことが大切です。

また、紙で保管する場合は、紛失や劣化を防げるファイルを使い、電子データで管理する場合は、フォルダ名やファイル名に規則性を持たせます。
請求内容を後から確認しやすくしておくと、入金確認や取引先対応、社内での共有も進めやすくなります。
もし、担当者が交代した場合でも、過去の請求内容を追いやすい形にしておきましょう。

法人と個人事業主別の請求書の保管期間

請求書の保管期間は、法人と個人事業主で確認すべきルールが異なります。
保存期間や起算日を誤ると、必要な書類を提示できないかもしれません。

以下では、人と個人事業主別の請求書の保管期間を解説します。

法人の場合の法定保存期間

法人の請求書保管期間は、原則として、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間とされています。
請求書は取引内容を確認する証拠になるため、税務調査や会計確認に備えて、年度ごとに整理しておくことが欠かせません。
また、欠損金の繰越控除などに関係する場合は、より長い保存が求められるケースもあります。

さらに、自社の決算期に合わせて保存期限を確認し、早期に廃棄しない体制を整えることがポイントです。
保存場所や管理責任者も明確にしておくと、確認時の混乱を防ぎやすくなります。

個人事業主の場合の法定保存期間

個人事業主が受け取った請求書は、青色申告・白色申告を問わず、原則として一定期間の保存が必要です。
また、個人事業主が作成・受領した請求書などの取引関係書類は、所得税法上、一般的に5年間保存する書類として扱われます。

ただし、帳簿や一部の書類は7年間の保存が必要になるため、経理実務では余裕を持って7年間保管する運用もあります。
申告方法や書類の種類に応じて、保存期間を確認し、年度ごとに整理しておきましょう。
さらに、税務調査に備える意味でも、短期間で処分しない運用が安心です。

保管期間の正しい起算日と数え方

請求書の保管期間は、書類が関係する事業年度の終了後から数えるのが基本です。
法人では、事業年度終了日の翌日から一定期間保存する考え方になります。

また、個人事業主の場合も、対象年分の確定申告期限や書類の種類を踏まえて確認が必要です。
起算日を誤ると、早く廃棄してしまうリスクがあります。

さらに、年度別に保管期限を管理し、保存期間が過ぎるまで取り出せる状態を保つことが求められます。
廃棄前には、保存期限を過ぎているかを再確認する流れも必要です。

請求書を保管する3つの方法

請求書は、紙で受け取った場合と電子データで受け取った場合で扱い方が異なります。
紙原本の保管、スキャン保存、電子データ保存の違いを理解しておくと、法令対応と業務効率化を両立しやすくなるでしょう。

以下では、請求書を保管する3つの方法を解説します。

紙原本をそのままファイリング保管する

紙原本をそのままファイリングする方法は、特別なシステムを使わずに始めやすい保管方法です。
取引先別、請求月別、支払状況別などのルールを決め、後から探しやすい形で整理します。
また、湿気や日光を避け、保管場所を固定しておくと、劣化や紛失を防げるのです。

一方で、紙の量が増えると保管スペースや検索の手間が発生します。
定期的にファイルの並びや保管期限を見直し、不要な混在を防ぎましょう。
年度ごとの箱や棚を分けると、後から確認する際の負担も軽くなります。

紙の請求書をスキャンしてデータ化保管する

紙の請求書をスキャンしてデータ化すると、保管スペースを減らし、検索しやすい状態で管理できます。
電子帳簿保存法のスキャナ保存を利用する場合は、解像度、カラー情報、タイムスタンプ、検索性などの要件を確認することが必要です。
また、ファイル名には取引先名、請求日、金額などを入れると、後から探しやすくなります。

さらに、紙を廃棄できるかどうかは保存方法によって異なるため、運用前に社内ルールを整えておきましょう。
担当者ごとに保存先が分かれないよう、共通の保存場所を決めることも有効です。

受信した電子データをそのまま保存する

メールやクラウドサービスで受信した電子請求書は、原則として電子データのまま保存します。
電子取引に該当するデータは、印刷して紙だけで保管する方法では要件を満たさないため、改ざん防止や検索性を確保した保存が必要です。
また、日付、金額、取引先で検索できる状態にし、バックアップやアクセス権限の管理も整えておきます。

さらに、受信時のファイル形式を保ち、後から確認できる環境を用意することが大切です。
保存後に内容を変更しない運用を決めておくと、証跡管理もしやすくなります。

紙の請求書原本を整理するファイリングのコツ

紙の請求書原本は、分類ルールを決めて保管すると経理業務の確認や支払処理を進めやすくなります。
取引先別、請求月・支払月別、入出金状況別に整理すれば、必要な書類を探す時間や支払漏れの防止にもつながるでしょう。

以下では、紙の請求書原本を整理するファイリングのコツを解説します。

取引先ごとに専用のフォルダを分ける

請求書を取引先ごとに分けて保管すると、特定の書類を探す時間を減らすことが可能です。
また、取引先名を記載したフォルダやバインダーを用意し、年度や月ごとに仕切りを入れると、請求内容を後から確認しやすくなります。

さらに、取引先からの問い合わせや税務調査の際も、該当書類を取り出しやすくなるため、紙原本を扱う場合は分類ルールを統一しておきましょう。
ファイルの背表紙にも取引先名と年度を入れると、棚から選ぶ際の迷いも減らせます。

請求月や支払月ごとに時系列で綴じる

請求書を請求月や支払月ごとに時系列で綴じると、月次処理や決算時の確認が進めやすくなります。
特に、受領日、発行日、支払予定日など、どの基準で並べるかを社内で決めておくことがポイントです。
支払月と請求月が異なる場合も、管理基準を統一しておけば書類の混在を防げます。

また、月別の仕切りやインデックスを使い、支払漏れや二重払いの確認にも活用できる形で保管しましょう。
必要な月の書類をすぐ確認できるため、経理担当者の負担も軽くなります。

未払・支払済など入出金状況で分類する

請求書を未払・支払済などの入出金状況で分けると、支払い漏れや二重払いを防ぎやすくなります。
未払分は支払予定日順に並べ、支払いが完了したら支払済フォルダへ移す流れを決めておくと、現在の対応状況を容易に把握できるでしょう。

さらに、月別や取引先別の分類と組み合わせれば、確認作業もスムーズです。
入出金状況が一目で分かる状態にしておくことで、経理担当者の引き継ぎや上長確認にも対応しやすくなります。
また、定期的に未払分を確認する日を決めておくと、処理漏れの予防にも役立ちます。

請求書を電子化する際の注意点

請求書を電子化する際は、電子帳簿保存法やインボイス制度の要件を踏まえて保存方法を整える必要があります。
また、紙をスキャンする場合と電子データで受領する場合では、確認すべき点が異なるものです。

以下では、請求書を電子化する際の注意点を解説します。

電子帳簿保存法のスキャナ保存・電子取引要件

電子帳簿保存法では、紙の請求書をスキャンして保存する場合と、電子データで受け取った請求書を保存する場合で確認すべき要件が異なります。
スキャナ保存では、解像度やカラー情報、検索性、訂正削除の記録などを満たす必要があります。

また、電子取引で受け取った請求書は、原則として電子データのまま保存し、日付、金額、取引先で検索できる状態にしておくことが欠かせません。
紙に印刷するだけでは十分でないため、保存方法を事前に整えましょう。

適格請求書(インボイス)の控え保存義務

適格請求書を発行した事業者は、交付したインボイスの写しを保存する必要があります。
受領した側も、仕入税額控除を受けるには、一定の事項が記載された適格請求書などを保存することが求められます。

また、保存期間は、交付・提供または受領した日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間とされるため、日付や取引先ごとに整理し、必要なときに確認できる状態にしておくことが大切です。
紙と電子データのどちらで受け取った場合も、保存方法を統一して管理しましょう。
登録番号の確認結果も残せる運用にすると安心です。

電子化が完了した紙の原本は破棄してよいか?

紙の請求書を電子化した場合でも、すぐに原本を破棄してよいとは限りません。
電子帳簿保存法のスキャナ保存要件を満たして保存できている場合は、紙原本を廃棄できるケースがあります。

一方、要件を満たさない方法でスキャンしただけでは、紙での保存が必要になるかもしれません。
破棄する前に、解像度、カラー情報、検索性、訂正削除履歴などの要件を満たしているかを確認しましょう。
社内で廃棄判断の手順を決めておくことも大切です。

クラウド請求書受領システムの導入で管理を自動化しよう

請求書の受領や保管を効率化したい場合は、クラウド請求書受領システムの活用も選択肢です。
紙やメールで届く請求書を一元管理できれば、検索や保存、仕訳処理の負担を減らせるでしょう。

以下では、クラウド請求書受領システムの導入で管理を自動化しようを解説します。

検索要件や保存要件を簡単に満たせるメリット

クラウド請求書受領システムを使うと、請求書を取引先名、日付、金額などで検索しやすくなります。
特に、電子帳簿保存法に対応したサービスであれば、保存要件を満たすための機能が用意されている場合もあります。
紙のファイルを探す手間を減らせるため、税務調査や社内確認にも対応しやすくなるでしょう。

ただし、すべてのサービスが同じ要件に対応しているとは限らないため、導入前に検索項目、権限管理、訂正削除履歴などを確認しておくことが必要です。

仕訳処理の負担軽減とペーパーレス化の実現

クラウド請求書受領システムは、請求書データの読み取りや会計ソフトとの連携により、仕訳処理の負担を軽くできる場合があります。
また、手入力の回数が減れば、転記ミスや確認漏れの防止にもつながります。
電子データで保管できるため、紙の保管スペースを減らし、過去の請求書も検索しやすくなるでしょう。

導入時は、自社の会計ソフトとの連携可否や読み取り精度、承認フローとの相性を確認しておくことが重要です。
運用開始後の確認手順も決めておきましょう。

請求書や領収書の保管方法に関するQ&A

請求書や領収書の保管では、書類ごとの役割や電子保存の扱いで迷うことがあります。
インボイス制度や電子帳簿保存法への対応も関係するため、基本を押さえておくことが大切です。

以下では、よくある疑問を解説します。

請求書と領収書の保管方法に違いはありますか?

請求書と領収書は、どちらも取引を確認するための書類ですが、役割が異なります。
請求書は取引内容や請求金額を示す書類で、領収書は支払いが行われた事実を示す書類です。
また、保管期間や整理の考え方は共通する部分がありますが、後から確認しやすいように種類ごとに分けて管理するとよいでしょう。

紙の場合はファイルを分け、電子データの場合はフォルダ名やファイル名で書類の種類を区別します。
支払状況と合わせて確認できる形にしておくと、経理処理も進めやすくなります。

インボイス制度の登録番号はどこで検索できますか?

インボイス制度の登録番号は、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで検索することが可能です。
登録番号は「T」に続く13桁の数字で、請求書や領収書に記載されます。

取引先の登録状況を確認したい場合は、公表サイトで登録番号を入力し、登録の有無や登録年月日などを確認しましょう。
名称から調べる場合は、法人番号の確認や公表情報データの利用など、別の確認方法も検討してください。

また、仕入税額控除の確認にも関係するため、取引先から受け取ったインボイスの内容に不明点がある場合は、公的サイトで照合しておくと安心です。
確認日を記録しておくと、社内で共有しやすくなります。

マネーフォワードやfreeeなどのソフトで保管要件を満たせますか?

マネーフォワードやfreeeなどのクラウド会計ソフトは、電子帳簿保存法に対応した機能を備えているケースが想定されます。
また、請求書や領収書を日付、取引先、金額などで検索できるように保存し、訂正削除履歴や権限管理に対応するサービスもあります。

ただし、契約プランや利用機能、設定状況によって対応範囲は異なるため、ソフト名だけで判断するのは避けましょう。
導入前に、電子取引やスキャナ保存、インボイス保存に必要な機能を確認することが大切です。

まとめ:請求書の保管方法に悩む方へ実践的な整理術

請求書を適切に保管するには、受領分と発行分を分け、紙原本と電子データの扱いを整理することが重要です。
特に、法人と個人事業主では保存期間の考え方が異なるため、事業形態や書類の種類に合わせて確認が必要です。

また、紙原本は取引先別や月別、支払状況別に分類すると、必要な書類を探しやすくなります。
電子化する場合は、電子帳簿保存法やインボイス制度の要件を踏まえ、検索性や改ざん防止にも配慮が必要です。

さらに、クラウド請求書受領システムを活用すれば、保管や仕訳処理の負担も軽減しやすくなります。
自社に合う保管ルールを整え、経理業務の負担を減らしましょう。
本記事では、請求書の保管方法や保存期間、紙原本と電子データの扱い方、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応、ファイリングのコツなどを解説してきました。
しかし、実際の現場では請求書の保管ルール整備だけでなく、受領から入金確認、仕訳、保存、検索、監査対応まで含めた運用体制の構築に時間がかかる場合があります。

特に、請求書の電子化やペーパーレス化を進めたい企業、経理担当者の負担軽減や属人化防止を進めたい企業では、保管方法の見直しだけでなく、経理業務全体の設計や改善も欠かせません。
請求・入出金管理や経理体制の整備、業務改善まで含めて外部支援を活用する方法もあります。

アイエーピーでは、請求・入出金管理を含む経理業務全般のアウトソーシングや業務改善支援を提供しています。
請求書管理の効率化や経理体制の見直しを進めたい場合は、実務面からの支援も検討してみましょう。

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